2020年7月29日水曜日

EnForwardのThunderbird 78対応を始めました

Evernoteへメールを転送するアドオン「EnForward」ですが、一度、Thunderbird 78対応を見送っていました。

Thunderbird 78のリリース後、海外ユーザさんがほとんどですが、対応要望をいくつかもらって考え直しました。EnForwardのユーザは1,000人くらいでそんなに多くないし、XPCOMへの依存も高い(というか無理)ので、もう終わりでいいかな思っていました。ですが、よくよく考えると1,000人でもすごい数ですし、長い間使ってくれている人もいて、ちょっと反省しました。また、不具合メールもほとんどなく使われてないと思ってましたが、これもホントは問題がなくていいことなのに、錯覚してました(笑)

自分としても、使用頻度はすごく低いですが、ないならないで、ちょっとめんどくさいなぁと思い始めたところもあります。

現状は対応の目途はたっていて、ど真ん中の基本機能が動くところまで来ています。こんな感じです。


今回は、旧バージョンにはなかったツールバーボタンから呼び出すようにしています。旧バージョンも、転送ボタンの中にこっそり実装されていたのですが、気づいていた人はあまりいなかったかと思います。もちろん、これまで同様のコンテキストメニューや、ショートカットキーでの呼び出しも、これからですが実装する予定です。

ここ1~2週間で、ベータ版を出すくらいを目標に考えています。

ちなみに、もう一つの見捨てられたアドオン「Priority Switcher」も、対応の方向で考え直しています。こちらは、まだ実現性も確認できていないので、これからです。EnForwardの作業が終わったら手をつけます。

[2020/8/3]
EnForward 2.0.0をリリースしました。

2020年7月24日金曜日

MailExtensionsとWebExtensions

Thunderbird 78.0がリリースされ、アドオンに関しての問い合わせが多くなってきました。その中で、レガシー(Overlay/Bootstrap)、MailExtensions、WebExtensionsと、いろんな言葉があり、混乱されている方が多いので、まとめてみます。

結論から言うと、Thunderbird 78で、WebExtensionsは動きます


■レガシーアドオン (Legacy Extension)

オーバーレイ(Overlay)タイプとブートストラップ(Bootstrapped)タイプがあります。

オーバーレイは、ThunderbirdのUIやコードを上書きする形で拡張するタイプで、Thunderbirdの初期からあるタイプです。自由度が高く何でもできるため、Firefox/Thunderbirdの強みになっていました。その反面、セキュリティ上のリスクやThunderbird本体の変更の影響をモロにうけるため、バージョンアップの都度、アドオンの修正が必要になり、また、アドオンへの影響を気にしてThunderbird本体側もドラスティックな変更ができない(と開発チームは言っている)といった弱点もありました。

ブートストラップは、オーバーレイから少し自由度を奪う代わりに、アドオンをインストールしてすぐに(再起動せずに)使えるようにしたタイプです。このタイプは、私は開発したことがないので、あんまり知りません。


■WebExtensions

すべての元凶です。Firefoxがこれまでのレガシーアドオンを捨て、Google Chromeのアドオンと互換性の高いフレームワークを開発し、Firefox 57でこれに完全移行しました。これで、Firefoxではレガシーアドオンは動作しなくなりました。WebExtensionsにはレガシーアドオンのような自由度はないので、同じ機能が実現できないアドオンも出てきました。また、ほぼ作り直しになるので、多くのアドオン作者が脱落しました。で、阿鼻叫喚になりました。


■Legacy WebExtensions

このへんから、ややこしくなります。

Thunderbirdのベースは、Firefoxと同じなので、Firefoxの変更の影響を受けます。そのため、ThunderbirdもFirefoxのWebExtensions移行のあおりを受けることになります。しかし、Thunderbirdチームは、レガシーアドオンは捨てずに、WebExtensionsのフレームワークの中で、レガシーアドオンを動かせるようにしました。これがLegacy WebExtensions(Legacy option)で、Thunderbird独自のものです。

以下の投稿で説明したのも、このやり方です。WebExtensionsの設定ファイルであるmanifest.jsonを作って、"legacy": {...} で、XUL/Bootstrapを有効化しています。
https://hogi-ja.blogspot.com/2019/09/thunderbird-68.html

これが入ったのが、Thunderbird 68です。設定ファイルを作り直す必要があるものの、最小限の作業でレガシーアドオンを移植できるため、アドオン作者もなんとか追従できました。

Thunderbird 78で動かなくなったのは、この"legay" :{...}設定です。WebExtensions自体が動かなくなったわけではありません。


■MailExtensions

WebExtensionsは、Firefoxのためのものなので、メールクライアント向けには、いろいろ機能が足りません。そこで、Thunderbird用に追加のAPIを開発したのがMailExtensionsです。Firefoxと共通で使えるもの(設定の保存など)は、WebExtensionsのものを使います。なので、Thunderbird 78以降のアドオンは、WebExtensionsのAPIも、MailExtensionsのAPIも両方使っています。

なので、WebExtensionsはThunderbirdでも動きます。もちろん、ブックマークなどFirefoxにしかないものは、Thunderbirdでは動きません。


■WebExtension Experiments (MailExtension Experiments)

Thunderbird 68で、Legacy optionを導入したものの、Thunderbirdチームだけで維持していくのは厳しく(たぶん)、Thunderbird 78で、結局WebExtensions/MailExtensionsに完全移行することになりました。なので、すべてのアドオンはWebExtensions/MailExtensions APIを使用したものに書き換える必要があり、ほぼフルスクラッチでやり直すことになりました。これが今の状況です。

ただ、ThunderbirdはWebExtension Experiments (MailExtension Experimentsと呼ぶことも)という仕組みを使えるようにしました。これは、従来のオーバーレイタイプでやっていた自由度の高い拡張を可能にする仕組みで、Firefoxではベータ版以降で無効化されているものです。これは、本来、WebExtensionsのAPIを開発するためのものだからです。

このExperimentsを使えば、Thunderbird 78でも、Thunderbird 68と同じことが実現できる可能性があります。WebExtensionsはブラウザ向けのものなので機能不十分、MailExtensionsもまだAPIが全然足りていない状況なので、ちょっとでも凝ったことをしようと思うとこれが必要になります。問題は、これをするには、レガシーアドオン(XUL/XPCOM)の知識も、Web/MailExtensionsの知識も必要、かつ、なかなかの大仕事ということです。私のような小さいアドオンの作者ならいいですが、大規模なものはとんでもない時間がかかると思います。


■まとめ

最後にまとめると、こんな感じです。これからアドオンを作ってみよう、見捨てられたアドオンを動かしてやろうという方は参考にしてください。


Thunderbird 68
Thunderbird 78
Firefox 78
レガシー(Overlay/Bootstrapped)
×
×
×
WebExtensions
Legacy WebExtensions
(Legacy option)
×
×
MailExtensions
×
WebExtension Experiments
×(※)
※ベータ/リリース版で使用不可。

2020年7月20日月曜日

Thunderbird 78対応済みアドオン

Thunderbird 78対応済みのアドオンが、以下のページにまとめられています。(公式サイトに登録されているもの)

現状だと、13アドオンが対応しています。出たばかりとは言え、なかなか厳しい状況ですね。また、大部分に「WebExp」のマークがついており、WebExtension Experiments(APIを自作して旧来のコードを使用する仕組み)に依存しているのも、今後のバージョンアップの観点で心配要素です。

[2020/7/21]
7/21で一気に82アドオンまで増えました!アドオン作者もレビュアも頑張ってますね。なんとかこの調子で、自動アップデートが始まるまでにそろえば。


このリストの「家」のアイコンをクリックすると、ダウンロードサイトに飛べます。

飛んだ先で「Download Now」をクリックしてしまうと、Thunderbird 68版がダウンロードされてしまいます。ここは、「View other versions」をクリックして、古いバージョンのリストを表示してください。すると、Thunderbird 78対応のものもリストアップされると思います。本家サイトの更新が追い付いていないのか、Thunderbird 78はまだあんまり使ってほしくないのか…




2020年7月18日土曜日

Thunderbird 78.xの注意点

Thunderbird 78がリリースされました。新機能などは詳しいサイトがいっぱいあるのでそちらにお任せして、こちらでは、こまごま注意点をまとめておこうと思います。アップデートを検討している方のご参考になれば。


Thunderbird 78 64ビット版

公式サイトの「無料ダウンロード」からダウンロードすると、32bit版をダウンロードしてしまいます。64bit版は、「システムと言語」からダウンロードできます。久しぶりのダウンロードだったので、私も間違えました(笑)




アドオンの更新

Thunderbird 78に更新後、アドオンマネージャを見ると、全アドオンが有効になっているように見えますが、実際には動いていません。歯車ボタンから「今すぐ更新を確認」を実行して、手動で更新が必要です。アドオン作者がThunderbird 78対応版をリリースしていれば、更新されます。

更新されない場合は、アドオン作者が個人HPなどで公開していないか探すしかありませんが、あんまり期待できないかなと思います。


既知のバグ

Thunderbird 78.0のリリース前テストやリリース後に見つかったバグが、以下にまとめられています。英語ですが、事前にチェックすることをおすすめします。アドレス帳が消えてしまうなどの、致命的なものも挙がっています。(私はこのバグには当たりませんでした。)

あと、ダークテーマ回りもハマっていそうです。押しの改善点だったはずが。

このあとも、続々増えていくと思います。

[Bug 1644037] Bugs found during testing and initial release of TB78 [meta]


メッセージヘッダツールバーのカスタマイズ

メッセージヘッダにあるツールバーですが、カスタマイズができません。以下のようにアイコンの横にテキストがある形式でしか表示できず、並び替えや不要なボタンを削除することもできません。


Bugzillaにバグは登録されていますが、どう対処するか決まっていないみたいです。Thunderbird 68からデグレして、こんな状態で出すなよって感じですが…

[Bug 1556261] Implement message header button customisation

私のアドオン(New Tab Button, Tag Popup, Maximize Message Pane)は、ここにボタンを追加しますが、不要な方もいると思います。そういう人には邪魔でしかないので、暫定対応として、メッセージヘッダににボタンを追加しないバージョンを用意しようと思います。
 
[2020/9/8]
ツールバーをカスタマイズするアドオンを作ってみました。よければ試してみてください。また、New Tab Button, Tag Popup, Maximize Message Paneのボタンが不要な方は、こちらのアドオンで対応してください。アドオンごとに、ボタンがあるバージョンと、ないバージョンを作ろうかと思ったのですが、メンテがしんどいので。


Ctrl+マウススクロールでズームできない

[2020/8/27]
Thunderbird 78.2で修正されました。
 
これもオイっていうデグレですが、Ctrlを押しながらマウスのスクロールをグリグリしても、ズームができません。メッセージヘッダのカスタマイズと同じくバグは挙がっていますが、対応の計画はよくわかりません。 以下のバグは、ポップアップなど、アドオンでズームできないバグに置きかわってます。

[Bug 1634556] Ctrl+scroll wheel does not zoom in message reader, message pane or compose window


Thunderbird 68に戻したい場合
 
間違って自動更新でアップデートしてしまったなど、Thunderbird 68に戻したい場合は、少し注意が必要です。Thunderbird 68を再インストールした後、普通に立ち上げると「古いバージョンのThunderbirdを使っている」と怒られてしまい、起動できません。コマンドラインから「--allow-downgrade」オプションをつけてThunderbird 68を起動してください。
 
ショートカットを作って、リンク先のところに「--allow-downgrade」を追加してもいけます。(Windowsの場合)
 
例: "C:\Program Files\Mozilla Thunderbird\thunderbird.exe" --allow-downgrade
 
もちろん、データが壊れる可能性もあるので、プロファイルフォルダのバックアップをとったうえで試してください。データが壊れてしまうようであれば、もうThunderbird 78に移行するしかないかなと思います。Thunderbird 68を使い続けるのも、セキュリティ上の問題がありますし。


テーマが変になる

v78.4.3で修正されました。
 
これは私の環境なのかもしれないですが、Darkテーマから既定のテーマに戻せません。また、その状態だとダークテーマとも違う色付けになっています。こうなってしまった場合は、いったんLightテーマにしてから、既定のテーマにすると戻ります。Thunderbirdチームもテーマ回りは手こずっているようです。

2020年7月14日火曜日

Thunderbirdをタスクトレイ(通知領域)にしまう

Thunderbird 78から、最小化時にタスクトレイにしまって、常駐させることができるようになります。


デフォルトでは無効になっているので、オプションで設定が必要です。

アプリメニュー(三本線のアイコン)から、「オプション」を選んで、「一般」の「システム統合」にある、「最小化したThunderbirdをタスクトレイにしまう」をチェックしてください。



Thunderbird 60まではアドオン(MinimizeToTray)で対応していましたが、Thunderbird 68で方法がなくなり、Thunderbird 78で本体がようやく対応した形です。ただ、MinimizeToTrayでは閉じるボタン(×ボタン)でも最小化できていましたが、Thunderbird 78では終了してしまうので注意してください。この動作をアドオンで変更するなどはたぶん難しいので、慣れるしかないかなと思います。
Minimize on Closeを使えば、閉じるボタンで最小化もできます。

Thunderbird 78に乗り換えると、これまで使っていたアドオンが、作者が対応しない限り動作しなくなってしまうので、アドオンをとるかタスクトレイ最小化をとるか、悩ましいところもあります。いつかは、Thunderbird 78に移行しないといけないですが。

2020年7月10日金曜日

(拡張機能版) BracketsでIMEの予測変換がかぶる問題の直し方

先日、Adobe BracketsでIMEの予測変換がかぶってしまう問題を、スタイルシートの編集で対処する方法を投稿しました。

(CSS版) BracketsでIMEの予測変換がかぶる問題の直し方

ただ、このやり方だと、今後のBracketsのアップデートで上書きされたり、CSS編集に抵抗がある方もいるかもしれないので、拡張機能での対応もしてみました。

ダウンロード (Fix IME Overlap):

Fix IME Overlapという拡張機能をダウンロードして、インストールしてください。

インストールは、ファイル→拡張機能マネージャから拡張機能マネージャを開いて、下の図のように「.zipをここにドラッグするか、…」と書いているところに、ダウンロードしたzipファイルをドラッグ&ドロップしてください。インストールしたら、すぐに有効になります。再起動はいりません。



CSS版では、0.25ex分下に下げていますが、拡張機能では、デフォルトのフォントサイズ(12px/1em)と今のフォントサイズの差分だけ下げるようにしています。

拡張機能だとインストールするだけですんで手軽ですが、細かい調整ができません。もし、お使いの環境でうまくいかない場合は、CSSを編集するやり方で微調整してみてください。

2020年7月8日水曜日

(CSS版) BracketsでIMEの予測変換がかぶる問題の直し方

[2020/7/10] 追記
この記事はBracketsのスタイルシートを自分で編集して、予測変換の位置を調整する方法を紹介しています。手軽にできるように拡張機能も作ってみましたので、よければ以下もお試しください。

(拡張機能版) BracketsでIMEの予測変換がかぶる問題の直し方


Thunderbirdのアドオン開発に使用しているAdobe Bracketsですが、日本語入力するとMicrosoft IMEの予測変換が入力文字にかぶってしまい、めちゃめちゃ使いにくいことに気づきました。これまで問題にならなかったのは、最近ノートPCを新調して、解像度の高さから、フォントサイズをデフォルトから変更したためで、デフォルトのサイズで使っていた古いPCでは起きてなかったからと思います。

こんな感じで入力文字が読めない。



この問題は古くからあるようで、「予測変換を切ること」をすすめているサイトが多いのですが、これはちょっとイヤだなぁということで…。もうちょっと調べてみると、Bracketsがエディタ部分に使用しているCodeMirrorというコンポーネントの問題っぽいことがわかりました。

で、Bracketsのスタイルシートをいじることで、なんとか回避ができたので、ご紹介します。よろしければご参考までに。


IMEの予測変換がかぶる問題の直し方

①スタイルシート(brackets.min.css)をコピー
<Brakcetsのインストールフォルダ>/www/styles/brackets.min.css をデスクトップなど、適当な場所にコピーしてください。

インストール時に特に何もしていなければ、Windowsの場合、
 C:\Program Files (x86)\Brackets\www\styles
にあります。

(インストールフォルダで直接ファイルを編集すると、権限の問題で保存できない場合があるので、この手順を入れています)

②コピーしたスタイルシートを編集
以下を、スタイルシートの末尾に追加してください。

.CodeMirror-wrap > div > textarea{top:0.25ex !important}

③編集したスタイルシートをもとの場所に上書き
元のbrackets.min.cssのバックアップを取って、新しく作ったものに置き換えてください。アクセス権の警告が出る場合は、OKしてください。

④Bracketsを立ち上げ、確認する
予測変換のウィンドウが出る位置は、フォントサイズによって変わるので、オーバーラップする問題が解消されたか確認してください。

なおっていない場合は、スタイルシートの「0.25」の部分を変更して、位置を調整してください。数字を小さくすると上に、大きくすると下に移動します。あまり下に下げすぎると、予測変換が上側に出る場合が問題になってしまうので、要注意です。下に出る場合も上に出る場合もかぶらない、絶妙な位置を探ってください。

たぶん、ほとんどの方は「0.25ex」のままでいけると思います。こんな感じで、邪魔にならない位置に出るようになります。

下に出る場合:

上に出る場合:


この問題は、BracketsのGitにはあがっていますが、開発は停滞気味のようですし、文字変換をしない言語の人が多いでしょうから、根本解決はあまり望めない気がします。

2020年7月6日月曜日

テキストエディタMeryでEmacsキーバインド

アドオンの開発は、Adobe Bracketsを使用するようになりましたが、ちょっとしたメモなどには、サクッと起動できるMeryを使用しています。

Bracketsは、先日、Emacsキーバインドを導入+改造しましたが、Meryもマクロを作ればできるようなのでやってみました。最低限これだけあればというものは用意できて、なかなかいい感じになったかなと思います。

ここに公開しますので、もし必要な方がいましたら、ご自由にお使いください。

動作確認は、Mery Ver 3.0.4でしています。

マークを実現するために、「Document.Tag」プロパティを使用しています。これは、Ver 3.0.0で追加されたものなので、リリース版(Ver 2.6.7)では動作しないのでご注意ください。Ver 3.0.4以降での使用をおすすめします。

■ダウンロード:
Mery 3.0.4

Emacsキーバインド用マクロ


Emacsキーバインド用マクロ

作成したマクロは以下です。マクロをMeryに読み込んで、キーを割り当ててください。キーアサイン例には、私がしたキーアサインを書いています。C-x C-sなどの2ストロークのキーバインドは、Meryの仕組み上、難しそうなので見送りました。
v1.1で一部の2ストロークキーに対応しました。「テキストエディタMeryでEmacsキーバインド (2)」もご確認ください。

マクロ
動作
キーアサイン例
beginning-of-line.js
行頭にカーソルを移動
C-a
end-of-line.js
行末にカーソルを移動
C-e
forward-char.js
一文字右にカーソルを移動
C-f
backward-char.js
一文字左にカーソルを移動
C-b
next-line.js
次の行にカーソルを移動
C-n
previous-line.js
前の行にカーソルを移動
C-p
kill-line.js
カーソル位置から行末までをカット
C-k
delete-char.js
カーソル右を一文字削除
C-d
delete-backward-char.js
カーソル左を一文字削除
C-h
set-mark-command.js
カーソル位置をマーク
C-SPACE
kill-region.js
マークからカーソル位置までをカット。範囲選択している場合は、その部分をカット。
C-w
kill-ring-save.js
マークからカーソル位置までをコピー。範囲選択している場合は、その部分をコピー。
Alt-w
beginning-of-buffer.js
バッファ(現在のタブ)の先頭にカーソルを移動
Alt-<
(Alt-Shift-,)
end-of-buffer.js
バッファ(現在のタブ)の末尾にカーソルを移動
Alt->
(Alt-Shift-.)
yank.js
ペースト
C-y
undo.js
アンドゥ
C-/

yank.jsやundo.jsなどは、Meryの既存のコマンド(C-v, C-z)のキーアサインを置き換えてもいいのですが、それだともとのアサインがつぶされてしまうので、もとのアサインも使えるようにマクロを用意しました。(C-vでもC-yでもペーストできる)


設定の仕方

まず、ダウンロードしたmery-emacs.zipを解凍して、適当なディレクトリに置いてください。私はMeryのインストールフォルダにある「Macros」フォルダに置きました。

次に、Meryを立ち上げ、マクロ→カスタマイズを選択します。すると、以下のダイアログが表示されます。
(すでにマクロが読み込まれている表示になっていますが、実際には、この段階ではデフォルトのマクロしか表示されません)


ダイアログが開いたら、追加ボタンを押し、必要なマクロファイルをすべて追加してください。上記のように、マクロが表示されたら、OKを押してダイアログを閉じます。

なお、各マクロのチェックボックスをチェックすると、マクロメニューに追加され、メニューから呼び出せるようになります。今回は、ショートカットキーで使うので、ここはチェックしなくてもよいです。「イベントで実行」も同様に、チェック不要です。

マクロが登録できたら、各マクロにショートカットキーを割り当てていきます。ツール→オプションを選択してください。オプションダイアログが表示されるので、左側で「キーボード」を選択し、カテゴリで「マクロ」を選択します。すると、以下のように、先ほど追加したマクロが表示されると思います。


コマンド欄でキーアサインを設定したマクロを選択した後、新しいキー欄にカーソルを持っていきます。ここで、C-pなどの割り当てたいキーを押してください。すると、押したキーが表示されるので、問題がなければ、割り当てを押してください。

これで、キーアサインがされたことになるので、ほかのマクロも同様にキーを割り当ててください。

現在の割り当て欄に何か表示された場合は、すでにこのキーアサインが使用されています。マクロに割り当てると、元のキーアサインは使えなくなります。必要に応じて、別のキーを割り当てるなどしてください。私は、それほど使用頻度の高いものではなかったので、全部つぶしてしまいました。


注意事項

お約束ですが、このマクロを使用して何か問題が起きても責任はとれないので、ご理解ください。また、私が使用するのに必要な機能を実装したので、厳密にはEmacsの動作と異なる部分があるかもしれません。

2020年7月2日木曜日

Check and Send 2.x の設定方法

Thunderbird 78対応に際し、Check and Sendを完全新規で書き直しました。

これまで旧版を使っていた方も、再設定が必要になりますので、新しくなった設定方法をまとめておきます。

※まず、メール作成ウィンドウのツールバーに「チェック」ボタンを配置してください。置かない場合は、メール送信自体できなくなってしまいます。

設定画面の開き方

  1. アドオンマネージャを開く(アプリメニュー(三本線のアイコン)→ アドオン を実行)
  2. 左側の項目で「拡張機能」をクリック
  3. インストール済みのアドオンが表示されるので、「Check and Send」をクリック
  4. 「オプション」をクリック

以下のような画面が表示されます。



設定する差出人

Check and Send は差出人情報(From アドレス)ごとに、設定ができます。ここで、設定する差出人を選択します。

リストには、「共通」とセットアップされている差出人が表示されます。

「共通」は、差出人によらず、共通的に使用する設定です。デフォルトでは、全差出人で共通設定を使うようになっています。

■共通設定
共通設定では、以下のように、
  • 差出人ごとに設定する
  • すべてのチェックを無効にする
を選択するようになっています。


「差出人ごとに設定する」を選択すると、その下に各種設定が現れ、チェック内容を設定できるようになります。

「すべてのチェックを無効にする」を選択した場合は、Check and Send自体が無効になり、何もチェックせずにメール送信するようになります。

■差出人ごとの設定
各差出人ごとに設定を変えたい場合に、この設定をします。

共通以外を選択すると、以下のように、
  • 共通設定を使う
  • 差出人ごとに設定する
  • すべてのチェックを無効にする
を選択するようになります。

デフォルトでは、「共通設定を使う」が選択されています。この場合、「共通」で設定した内容でチェックをします。

「差出人ごとに設定する」を選択した場合、ここでした設定は、この差出人のみに適用されます。

「すべてのチェックを無効にする」を選択した場合は、この差出人の場合のみ、何もチェックせずにメール送信するようになります。


宛先の種類

これ以降、上記で「差出人ごとに設定する」を選んだ場合の設定項目を説明します。

宛先の種類では、To/Cc/Bcc/Reply-Toの有無をチェックします。

設定
説明
以下が空欄だった場合に確認する
選択したフィールドが空欄だった場合に警告します。
宛先/Ccが XX を超え、Bccがなかったら確認する
宛先、Ccの数の合計が指定した数を超え、かつ、Bccが空欄だった場合に警告します。多数の宛先に送る場合は、Bccにしないといけないなどのルールがある場合のチェックを想定しています。
0を設定すると、この機能が無効になります。


宛先のアドレス

To/Cc/Bcc/Reply-Toのメールアドレスをチェックします。

設定
説明
すべてのアドレスをポップアップする
全アドレスを無条件にポップアップします。
リストに基づいてポップアップする
アドレス帳、アドレスのリストを使用してポップアップします。以下で詳細を設定します。
アドレスがアドレス帳にあったら/なかったら確認する
アドレスがアドレス帳にあったら or なかったらポップアップします。アドレス帳がこの設定の下に列挙されるので、使用するアドレス帳を選択してください。
アドレスがリストにあったら/なかったら確認する
アドレスがリストにあったら or なかったらポップアップします。リストはその下にあるリストボックスで指定します。リストには個別のメールアドレス(xxx@yyy.comの形式)とドメイン(yyy.comの形式)が指定できます。ドメインを指定すると、社外のメールアドレスのみポップアップするなどができます。
Bccを上記チェックから除外する
アドレス帳、リストによるチェック対象からBccを除外します。
上記チェックの両方にマッチしたアドレスのみポップアップする
アドレス帳によるチェック、リストによるチェック両方にマッチしたアドレスのみポップアップします。アドレス帳にない社外あてメールをポップアップするなどができます。
ポップアップしない
メールアドレスチェックを無効にします。
重複したアドレスを削除する
To/Cc/Bcc/Reply-Toそれぞれで、重複アドレスを削除します。ToとCc両方に同じアドレスがあるなどの、フィールドをまたがった重複は削除しません。
削除前に確認しない
重複アドレスがあった場合に、ポップアップには表示せず、強制的に重複を解消します。


宛名

「名前 <xxx@yyy.com>」の名前の部分をチェックします。

設定
説明
宛名をアドレス帳の宛名に修正する
アドレス帳に登録されている名前と異なる場合にアドレス帳の名前に修正します。
アドレス帳にない場合は宛名を削除する
アドレス帳に登録されていないアドレスの場合に、宛名を削除します。
アドレス帳
チェックに使用するアドレス帳を選択します。
宛名を削除する
アドレス帳のチェックはせずに、すべてのアドレスの宛名を削除します。
なにもしない
宛名チェックを無効にします。
修正前に確認しない
宛名を修正/削除する場合に、ポップアップで確認せずに、強制的に変更します。


差出人

単に差出人をポップアップするだけの設定です。複数の差出人を使い分けている場合の確認に使用してください。



添付ファイル

添付ファイルをチェックします。

旧版には、「添付」などの文字があるが添付ファイルがない場合の警告がありましたが、Thunderbird本体に類似の機能があるため削除しました。

設定
説明
添付ファイルのサイズが XX MBを超えたら確認する
添付ファイルの合計サイズが、指定されたものを超えたらポップアップします。
 0 MBを設定すると、このチェックは無効になります。
添付ファイルの拡張子が以下だったら/でなかったら確認する
拡張子が指定したものだったら or でなかったらポップアップします。
拡張子はその下にあるリストで指定します。
「exe」のように、単に拡張子を入れればOKです。「*.exe」のように入れてもよいですが、「*.」の部分は無視されます。


単語

メールの件名、本文をチェックする設定です。


設定
説明
以下の単語がメール中にあったら確認する
リストで指定した単語がメール中にあったらポップアップします。
以下の単語がメール中になかったら確認する
リストで指定した単語がメール中になかったらポップアップします。
正規表現として解釈する
リストで指定した単語を正規表現のパターンとして扱います。
大文字と小文字を区別する
リストで指定した単語を検索する際、大文字と小文字を区別して扱います。
引用と署名を検索対象から除外する
引用部と署名部をチェック対象から除外します。
引用部は「>」または「|」の部分、署名部は「-- 」以降の部分です。
以下を検索する
チェック対象を指定します。


曜日/日付

メール中の曜日間違いなどをチェックします。この設定は、以下のブログ記事でまとめているので、そちらを確認してください。


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